【語学体験談】中国語知識ゼロの日本人が2年間で日常会話ができるようになるまでの経緯

みなさん、こんにちは。ブロガーのゆき(@yukiblog-cn)です。
私は日系企業の駐在員として、中国深セン市で仕事をしている日本人です。

海外で生活する人が必ずぶち当たる壁の1つが、「言語の壁」。私はもともと海外で生活した経験はなく、海外旅行もほとんどしたことがありませんでした。ましてや中国語は勉強したことすらなく、完全にゼロベースから中国語を習得する必要がありました。

このように中国語を全く知らない、話せない私でしたが、2年間の駐在生活を経て、日常会話は不自由なく出来るレベルまで成長することができました。本記事では全く中国語を話せない私が日常会話ができるようになるまでの体験談を時系列で書き記します。

近年は、海外で仕事をするチャンスや海外旅行をする機会も増えています。また、2024年11月末より、中国は日本人旅行客へのビザを免除したため、中国旅行や出張のハードルはぐっと下がりました。本記事では、よくある勉強法の紹介だけでなく、リアルな語学体験談を紹介することで、中国旅行や駐在に興味がある方へ少しでも有益の情報が提供できれば幸いです。

【中国駐在前】日本で中国語の勉強を開始

中国駐在の内示が出たのは、駐在開始日の大体半年前。駐在の2か月前くらいから、中国語の勉強を始めました。やったことは2つ、単語学習オンライン会話レッスンです。

まず単語学習について、この時はオンライン会話レッスンの際に使っていたテキストを使いました。内容は基礎の基礎、この時点では冗談抜きでニーハオしか知らなかったので、簡単な挨拶や、リンゴとかバナナとか日常生活に登場する物の名前を覚えました。

並行して、オンライン会話レッスンを試みました。上記のテキストを使って、ネット上で中国人の講師と会話練習をします。しかし、私は全くの初心者のため、日本語がペラペラの講師を選び、会話以前の発音の練習をひたすら繰り返しました。ちなみに中国語の発音は複雑で、四声という4種類の発音の仕方があります。なおかつ日本語にはない巻き舌があるので、日本人にとって発音が難しい言語だと思います。

正直、この時期の単語学習と発音練習は全く面白なく、辛さしかなかったです。理由は自分の語学が上達している実感が全くなかったからです。それでも勉強は続けねばと思い、簡単な単語学習と発音練習をひたすら続けました。

【駐在1ヶ月目】現地で初めてリアルな中国人と接する

いよいよ中国駐在開始。私は2023年3月に中国広東省の深セン市にやって来ました。母体が日系企業のため、駐在先にも日本人がいますが、ほとんどが現地採用の中国人です。 ファーストコンタクトは同じ部署の若い現地社員。私が設備の使い方がわからずウロウロしていると、向こうから話しかけてくれました。しかし、全く聞き取れず私はあたふたしてしまう。何の話題なのかすらも聞き取れなかった。

私はこれまで外国人と接する機会がほとんどなかったのと、単純に中国語の力量不足で、体が硬直してしまいました。するとすかさず、向こうから翻訳アプリで日本語を見せてくれて、事なきを得ました。他にも日本人がいるため、彼らとの意思疎通で慣れていたのでしょう。 この時点で、私の中国語は実用レベルに到底及んでいないことを痛感すると同時に、中国人とコミュニケーションを取る際に翻訳アプリが手放せなくなりました。

【駐在2ヶ月目】1人で出張、中国人だけの環境で生活する

駐在開始から2か月。中国生活にも慣れてきて、いよいよ仕事にも本腰が入っていた頃。突然私1人で北京出張の任務が下りました。しかも、北京の職場の周りは全員中国人、そこに日本人1人で乗り込み2週間滞在という内容。北京滞在中は、深センのオフィスよりもより密に中国人と接する機会が多く、中国語力や中国人の考え方の観点で、何度も実力不足を痛感することになります。

北京出張の詳しい体験談はこちらの記事にまとめています。
【準備中】

【駐在5ヶ月目】現地で会社以外の中国人友達ができる

駐在開始から約半年。この時点で、なんとかしないと中国語をまともに話せないまま時間だけが過ぎてしまうと焦る私。そこで、中国語が上達しない原因をよく考えてみました。すると1つのことに気づきました。

今までのオンラインレッスンや単語学習は、机や画面に向かって勉強するもので、決まった単語や文章をただ反復練習するだけ。一方で、実際の会話は生身の人間を相手にして、会話内容は人によっても、環境によっても変わりうる。つまり、実際の会話は、机上や画面上での勉強と違い、テンポやスピード感があり、”生きた”会話の感覚があるということです。 そのため、会話力を鍛えるためにいくら単語やレッスンを続けたところで、この生きた会話の感覚は一向に身につかないと考えました。

このことに気づいてから、私はさっそく、生身の人間との会話の場数を増やすことに重きをおくように方針転換しました。 かといって、中国に住んでいても、中国人と話す機会を作るのは実はなかなか難しいです。買い物やレストランに行っても、中国は電子決済社会、ほとんど会話せずとも事が済んでしまうためです。何か方法がないかと調べたところ、「HelloTalk」というアプリにたどり着きました。

HelloTalkは言語学習を目的としたSNS型アプリで、世界中のほとんどの言語に対応しています。例えば、中国語を学びたい日本人と、日本語を学びたい中国人がいた場合、チャットや電話を使って相互的に学習できるサービスです。以前、英語学習で使ったことのあるアプリでしたが、この機会に再開することにしました。

このアプリを通じて、深セン市で日本語を勉強する中国人と知り合い、最終的に5人の友人と呼べる存在ができました。彼らとは普段からチャットをしたり、週末に一緒にご飯を食べに行ったり、映画を見たり、日本人の友達と同じように接しました。もちろん会話は中国語。この経験をきっかけに、中国語の会話力が身につき、どんどん成長する自分に自信がついていきました。これを境に、単語学習など基礎的な学習は継続しつつ、外にでて人と触れ合う機会がますます増えていきました。

HelloTalkについては以下の記事で詳しく紹介しています。
【準備中】

【駐在9ヶ月目】1人で中国各地を旅行できるようになる

駐在からもうすぐ1年というタイミング。中国人友人との交流や北京出張を通じて、中国人と会話をすることに対する抵抗感はほとんどなくなっていました。生活にも慣れ何か刺激が欲しいと感じていた矢先、たまたま中国の有名SNS「小红书(小紅本)」で、中国の絶景スポットの映像が流れているのを見かけました。

そこには、日本では見ないような秘境や街並みがあり、せっかく中国にいるのだから今しかできない体験をしたいと思い、中国の各地を旅行巡りすることを決意しました。できれば誰かと一緒に旅行したいところでしたが、旅行を誘うのはなかなかにハードルが高く、基本的には1人旅。 最初の頃は、1人で異国の地を歩き回るのすら怖かったですが、会話力の上達とともに、中国人との接し方もわかるようになり、徐々に中国旅にも慣れていきました。今となっては、誰の助けもない状況で各地を回れたことは語学力だけでなく、精神面でも鍛えられた良い経験だったと思います。

中国各地の旅行記はこちらのカテゴリーに掲載しています。

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【駐在18ヶ月目】中国語で累計40分の社内プレゼンをする

駐在も終盤。仕事で大きなミッションが舞い降りてきましたそれは、「現地社員の教育を目的として、中国語でプレゼンする」ことです。これまでも中国語で会議資料を作る機会はありましたが、中国語でプレゼンをする機会は一度もありませんでした。この話を受けた時は正直逃げ出したくなりましたが、今までの語学努力の成果を発揮できる大きなチャンスと考え、一念発起しました。

まずは、プレゼン資料を作る必要があります。聞き手は全員中国人なので、当然中国語で書く必要があります。駐在を始めたばかりの頃であればきっと、まずは日本語で資料を作り、後で中国語に翻訳するという手順を踏んでいたでしょう。しかし、この時期には中国人友人や会社同僚と普段からチャット会話をしていたこともあり、最初から直接中国語を入力することができていました。どうしてもわからない部分は翻訳サイトを使いましたが、基本的には自分が書いた中国語が正しく日本語に変換されるかのチェック用として使っていました。

プレゼン資料ができたら、次は発表練習です。これが一番大変でした。冒頭に紹介した通り、中国語は独特な発音ルールがあり、ピンイン(発音をアルファベットで記載したもの)をそのまま日本語読みしても、まず伝わりません。そのため、全てのスライドに対して原稿を作り、その一つ一つの単語の発音を調べ、何度も何度も練習しました。資料のボリュームはパワーポイント30枚。一回練習するだけで50分くらいかかります。それでも練習を繰り返すうちに段々と口が慣れてきて、最終的には35分くらいで発表を終えれるようになりました。残業中や自宅に帰ってから寝る前など、おそらく累計で30回くらいは練習したと思います。

準備万端でいよいよプレゼン当日。聴衆は大体40人くらい。大人数に対してのプレゼン自体が久々だったため、開始前から少し緊張しました。原稿とは別に、冒頭に少しだけアドリブの挨拶を入れましたが、それがしっかり伝わり反応をもらえたところで自信を取り戻し、いざプレゼン開始。練習をしっかりしたおかげで、多少詰まるところがありながらも40分ほどでプレゼンを完了。日本語を一切使わず、中国語だけで完遂しました。プレゼンの後には質疑応答もあります。内容が伝わっているかとても不安でしたが、多くの社員からたくさんの質問がでて、非常に嬉しく思いました。

ただ1つ反省なのが、質疑応答の際、中国語で返答することができなかったことです。質問内容はある程度聞き取れましたが、大人数の前で即座に自分の意見を中国語で説明するのは、この時点の私の実力では難しかったです。結果として日本語で説明し、他の社員に中国語に翻訳してもらいました。人生初の外国語でのプレゼンを成功し、中国語での質疑応答という次の課題も明確になり、日頃の努力が目に見えて発揮できた非常に良い経験でした。

【駐在23ヶ月目】仕事や日常生活に全く困らなくなる

駐在からもうすぐ2年が立つ今現在。駐在生活を振り返ると、最初は中国人と会話をすること自体に抵抗感があり、全く会話力もなかった自分が、現地で友人を作り、一人で各地を旅行し、中国語でプレゼンをできるところまで成長できたことに大きな自信を持っています。

もちろん、私の中国語はまだまだ流暢ではなく、おそらく中の下くらいのレベル。それでも2年間という限られた時間で、1つの言語を日常会話が不自由なくできるレベルまで習得できたのは、勉強の方針を考えながらひたすらに努力した成果の賜物だと思います。

結論としては、外国語の会話力を磨きたいのであれば、「生身の人間と話す機会を増やす」ことが最も重要だと私は思います。もちろん、前提条件として単語や文法学習は必須ですが、そればかりやっていても会話力は間違いなく上達しません。実際の人間と生きた会話の場数を踏むことこそが、会話力向上の一番の近道と思います。オンラインレッスンも、テキストの流し読みではなく、フリートークのような使い方をすると、より良い学習効果があるかもしれません。

私は2年の任期を終えて日本へ帰国しますが、その後、中国語とどのように付き合っていくかはまだ未定です。もし将来、中国人の友人たちが日本に遊びに来たときは案内したいですし、私が中国にまた来る機会もあるかもしれないので、何かしらの形で努力は続けようと思っています。  

以上、私の中国語学習の体験談を徒然なるままに書き記しました。
本記事が、中国への旅行や駐在を考える方にとって有益なものになれば幸いです。

それでは!

ゆき